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本日の一枚
70年代ニューミュージックのゴキゲンな幻の一枚が47年の時を経て...『Linda Carriere』 by 村井邦彦+細野晴臣+リンダ・キャリエール
「隠されていた宝物みたいなアルバムだと思うんですよ。当時はお蔵入りになったけど、こうして何十年も経って出るということに意味があるのかもしれない。今の時代に世に出ることを待っていたようなね」...細野晴臣は、リンダ・キャリエールと47年前に作ったアルバムについて、そう感慨深く語った。
1976年の12月、細野は音楽プロデューサーとしてアルファレコード(当時)と契約を交わした。その第1弾として、自身も含め、山下達郎、吉田美奈子、矢野顕子、佐藤博らの書き下ろし楽曲で、アメリカ人女性シンガー、リンダ・キャリエールを日本に招いてアルバムを制作した。細野にとっても、リンダにとっても新たなキャリアの第一歩となるはずだったそのアルバムは、完成直前に発売中止となった...そしてYMOが産まれた。
前回紹介した『The Smile of Life』とも繋がるこの一枚。
このアルバムが作られた経緯はアルファの村井邦彦さんから細野さんがプロデューサーとしての契約を持ちかけられ、同時に、アメリカのソウルシンガーとアルバムを作って世界に進出するというアイデアを提案された。
その際に細野から出したアイデアが、クリオール(アメリカ南部ニューオリンズ周辺に多い移民の子孫)のシンガーと作品を作ってみたいというものだった。
「ニューオリンズ音楽にどっぷり浸っていた時期だったし、クリオール系にしたいとはっきり言いました。Dr.Buzzard's Original Savannah Band(クリオールのメンバーによって構成されていたバンド)の影響もありました。僕もそうですけど、みんな彼らのサウンドに衝撃を受けたんです」
さらに細野さんはこう語っています。
「リンダの歌もいいけど、演奏がいいんですよ。みんなうまい。それを今聴いてほしいというのはありますね。脂が乗るというか、青臭くない若さというか、当時の20代の音楽家にあるエネルギーなんです。歌を最後に入れるので、セッションで全部アレンジを決めて、歌ったあとから音を付け足したりはしていません。今みたいにあとで作り変えたりはできないんです。あの当時の楽曲として、演奏として、歌として、完成度がこれほど高いものを今では作れないと思います」
細野(「Sunday Girl」「All That Bad」「Child On An Angel's Arm」「Socrates」)、矢野(「Laid Back Mad Or Mellow」)、佐藤(「Vertigo」)の楽曲では細野主導で、山下(「Up On His Luck」「Love Celebration」)、吉田(「Loving Makes It So」「Proud Soul」)の楽曲では山下がアレンジを担当した。
そのメロディに、詩人・作家・脚本家として現在も著名なジェームス・レイガンが英語詞を付けた。そして、リンダが来日して、数日間で歌入れ。4月には録音が終了した。
シンガーも作曲者も決まっていない、まったくのゼロからスタートした制作が、半年もしないうちにこれほどの完成度に至った、その事実には驚きしかない。
「当時、山下達郎、吉田美奈子、矢野顕子とかいつも一緒にやってたので、依頼も手近なところにしました(笑)。みんな才能があるんで、本当によかったなと思います。みんなに事前にこういうふうにしたいとかは説明はしていないですね。自由に発想してもらったと思うし、ちゃんと力を入れてもらいました」
「アレンジについては、山下くんは自分の使うミュージシャンを決めていたから彼の曲では演奏も含めて任せました。僕らはユーミンとキャラメル・ママでレコーディングしていた頃のスタイルのままずっとやっていたんです。歌手がいなくてもキーさえ決まっていればヘッドアレンジができた。そこはまったくいつもと同じ作業だったんです。リンダの歌も、何度もテイクを重ねたりしていない。3テイクくらいじゃないかな」
では、では〜お聴き下さい。
それにしても、、、音楽っていいなぁ〜ある意味羨ましいです。
食べものの仕事をず〜〜〜っとしてきました。食べもの、結構な名作をたくさん産み出し、世に出したつもりですが、そのごはんは「今」食べていただくコトは出来ません、残念ながら。
でも、音楽は録音という技術が完成されてから過去のものも「今」聴くことができます。
人生の第四コーナーのソウゾウは未来の方たちにも楽しんでもらえるような、そんなステージでの挑戦をしていきたいと思っています。
音楽と共に本や映像となりますかね:)