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本日の一冊 万物日本霊長辞典

空間(視えるコト)=空気感(視えないモノ)を想像し、リアルに創造するアーティスト=種田陽平さん

*TAO LABより
美術監督:種田陽平さん〜ご存じですか?

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80年初頭、美大生の時、寺山修司『上海異人館』に参加、その後、美術助手+周防正行監督『変態家族 兄貴の嫁さん』、石井聰互監督『半分人間 アインシュツェルツェンデ・ノイバウテン』の美術監督を経て、榎戸耕史監督『・ふ・た・り・ぼ・っ・ち・』で劇場用一般映画デビュー。

その後、順不同ですが、岩井俊二監督『スワロウテイル』『花とアリス』、是枝裕和監督『空気人形』『三度目の殺人』、長崎俊一監督『ロマンス』『死国』他、中田秀夫監督『怪談』、三谷幸喜監督『THE有頂天ホテル』『ザ・マジックアワー』他、李相日監督『フラガール』『悪人』他、辻仁成監督『千年旅人』『フィラメント』他、根岸吉太郎監督『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ』、小泉堯史監督『蜩ノ記』始めとする多くのさまざまなジャンルの日本映画の、それもエンターテイメントとアート性両立した数々の名作の空気感=背景を映画だからこその「リアル」として「ソウゾウ(想像+創造)」してきたなんともシビれちゃう美術監督です。

種田さんの活動は日本に収まらず、クエンティン・タランティーノ監督、リー・チーガイ監督、スー・チャオピン監督、チャン・イーモウ監督、チャオ・リンシャン監督、ジョン・ウー監督といった世界を代表する監督作品とともになんとキアヌ・リーブスが初監督をした『ファイティング・タイガー』といった作品も。

さらに、さらに驚くべきコトに世界に誇る日本のアニメ、たとえば押井守監督『イノセンス』、米林宏昌監督『思い出のマーニー』という2次元の世界での美術も担当しています。

楽しませていただいた作品ばかりで〜天晴れ!ヤバイです:)

種田さんの存在+シゴト、そんなんで知ってはおりましたが、あらためてひょんなコトで興味を持ち、下記、読んだ次第です。

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ジブリの世界を創る

ー『思い出のマーニー』で初めてアニメの美術監督に挑戦する種田陽平氏。『スワロウテイル』『キル・ビルvol.1』『THE 有頂天ホテル』など数々の傑作映画の世界観を実現させてきた日本を代表する美術監督が、『思い出のマーニー』の制作の裏側を明かしながら、映画美術の仕事と創造の極意を語る。米林宏昌監督との特別対談も収録。ー

映画とは監督がいて、台本があり、役者さんが演じ...その後ろには数多くの方が携わり、一本の作品をカタチにしています。
どんな役目も、それぞれが居なければ完成はしません。

そんなチームプレイのなかで美術監督+美術チームがどんな役割を担当しているのか〜それは種田さん的美術監督術でしょうが、なるほどと感嘆した次第です。

実写であれ、映画という二次元虚構世界のなかのリアルな空間立体を具現化。さらに、、、ここ一番大切だと思いますが、その作品の空気感は美術に負うところ大であり、当たり前の話ですが、目からウロコで再認識したことは映画における美術というのは撮影が始まったときにはほぼ終わっているということです。

作品はゼロ(無)からイチ(有)にすることですが、そのカタチ化の、まさしくリアルな一歩を産み出す先陣の役割。その一歩から本格的な作品造りが始まる...。

さまざまな題材、さまざまな時代背景、さまざまな場所...それに見合ったリアルなツクリモノ...その実現のための監督始めとする関係各位とのすり合わせ、ロケハンも含めた資料集めも大切な素材でしょうし、それらをどう切ってどのように料理するか?どんな調味料を使って味付けするか?それ踏まえた火加減匙加減〜イイ・カゲンな塩梅...で、予算!もう、考えただけでクラクラッとなります:)

とはいえ、映画美術に限らずソウゾウとは情熱持ってクラクラッと、時にはグラグラっ:)とすること〜それ、お御馳走として生きている方にはこちらの書籍、おおいに刺激とやる気、いただけます。
オススメいたします。

種田さん、映画美術の他にも美術展企画構成、イベントや舞台、CMやミュージックビデオ、グラフィックデザインとともに建築家やインテリアデザイナーともいえるような空間設計、さらに本の装幀もしていると知りました。

個人的には今情熱持って四苦八苦しているある原稿の装幀をしてもらいたいなぁ〜などと...この書籍を読み、妄想:)浮かんでしまいました。

ここまで書いていたらこの書籍、届きました。

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どこか遠くへ

ー日本を代表する映画美術監督・種田陽平が、製作する美術セット、ロケーション・イメージなどに投影してきた彼自身の「記憶」を、イラストと文章で表現した初の自伝的絵本。ー

同世代の種田さん...また、彼のナビでどこかに連れてってもらおう〜:)

PS
こちら読んでみたいけど〜探し始めました。

『ホット・セット 種田陽平 美術監督作品集』
さらに
『伝説の映画美術監督たち×種田陽平』

どういうふうに無から有を、とんでもない選択肢から産みだしているのか〜興味シンシンは続きます。

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