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本日の一枚

音の光、眼前の闇...ヤン・ガルバレクとヒリヤード・アンサンブルの三枚

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*TAO LABより
今回はず〜〜〜っと愛聴している「三部作」をご紹介します。

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1994 Officium
『オフィチウム』は、1994年にECMレコードから発表された、ノルウェーのジャズ・サックス奏者ヤン・ガルバレクとグレゴリオ聖歌合唱カルテットのヒリヤード・アンサンブルのコラボレーションによるアルバムです1。このアルバムは、グレゴリオ聖歌を基調にした合唱隊とジャズ・サックス奏者との異色の組み合わせでありながら、ECMレーベルで最大の150万枚のセールスを記録しました。
音楽的には、ジャズのインプロビゼーションとルネサンス期のポリフォニーを融合させた、シンプルで美しいサウンドが特徴です。

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1999 Mnemosyne
前回のコラボレーション『オフィチウム』の続編『ニーモシネ』は二枚組のアルバムです。
古代ギリシャの「デルフィック・ペアン」から現代の作曲家ヴェルヨ・トルミスの「エストニアの子守歌」に至るまで、22世紀にわたる幅広いレパートリーを特色としています。また、このアルバムでは即興演奏の要素が拡大されており、北米や南米、スペインの民謡断片が自由に展開されているほか、タリス、デュファイ、ブリュメル、ヒルデガルト・フォン・ビンゲン、そしてヤン・ガルバレク自身の作品などが含まれています。
このアルバムは、聴衆を前にせずに行われた「一回限りのパフォーマンス」として録音され、同じように再現されることはないとされています。そのため、その瞬間瞬間の美しさと独創性が評価されている作品です。

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2010 Officium Novum
『オフィチウム ノウム』〜2010年にECMレコードからリリースされたこのアルバムは、1994年の『オフィチウム』と1999年の『ニーモシネ』に続くシリーズの続編であり、中世アルメニアの典礼音楽と民族音楽を融合した楽曲を特徴としています。
修道士で作曲家のコミタスの作品の編曲版を中心に、アルヴォ・ペルトやガルバレク自身の作品も奏でられており、深い響きのコーラスと、その上を浮遊するようなサックスの自在なプレイが特徴です。このアルバムは、リスナーを現実の世界から切り離し、神秘的な音楽体験へと誘います。

すべてのアルバムに共通するのはジャズとクラシックの境界を越えた新しい音楽体験を提供してくれることです。
また音色もなんともホリー=聖です。
ぜひ、聴いてみて下さい。

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