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本日の一枚
"エマホイ"と呼ばれていたエチオピアン修道女が多くの人の「独り」を温め、慰めた貴重音源集。
イスラエルのエルサレムで、エチオピア出身の作曲家/ピアニスト/修道女、エマホイ・ツェゲ=マリアム・ゴブルーが昨年3月、99歳の生涯を閉じた。
数十年の間、エチオピア正教のコミュニティ内に密かに存在していた彼女の音楽が広く西欧マーケットに知られるようになったのは、2008年にフランスの《Buda Musique》が『Éthiopiques』シリーズの一貫としてこのアルバム『Éthiopiques 21: Piano Solo』をリリースしたことがきっかけです。
いわゆる西洋の音楽家ではないのですが、クラシック音楽とも民族音楽とも距離をおいた不思議な音楽の世界〜とはいえ、たとえると、エリック・サティやクロード・ドビュッシーのように静謐で、それでいてエチオピア特有の5音階が際立つ彼女のピアノソロ曲は、旧来のアフリカ音楽ファンを超えて、クラシック〜モダンクラシカルのファンやアンビエント・ミュージックのリスナーをも魅了するサウンドを奏でています。
こちら『Jerusalem』は、これまでも彼女の楽曲の発掘リリースを行っていた米《Mississippi Records》が、その死の少し前にリリースしていた貴重な音源集です。
極めてレアな10インチ・アルバム『Hymn of Jerusalem』(1972年)からの数曲と1980年代に録られたホーム・レコーディング音源をコンパイルしたもので、アナログ版のジャケット裏には、エマホイ自身による各曲の解説も記されており、同じく貴重な資料となってます。
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『Jerusalem』
デヴィッド・バーンも時々のお気に入り音楽をプレイリスト化するときに彼女の音源をよく組み込むそうです。
彼はコメントとして「Her music is haunting and beautiful.」と綴っています。
独り静かに内面の旅へと出かけるときのお供にいかがでしょうか〜〜〜
安らかに〜合掌