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本日の一冊
現代の女流歌人たち「花の24年組」大島弓子作『綿の国星』
*TAO LABより
子供の頃からマンガ大好きで「少年マンガ」「青年マンガ」「成人マンガ」、さらに「アンダーグラウンド」「ニューウェブ」「アート」なマンガとともに思春期から青年期「少女マンガ」も読みあさっておりました。40代以降、マンガ、そんなに読まなくなりましたが、50代後半からアニメを異常なくらい:)鑑賞しております。またその流れでマンガも読み始めています。
日本語脳から産まれる日本のマンガ=アニメは宇宙で一番かと。
少女マンガの世界もさまざまなジャンル・作家たちいらっしゃいますが、「花の24年組」といわれていた少女マンガの革新を担った一群がいます〜萩尾望都(24年生まれ)、竹宮恵子(25年生まれ)、山岸凉子(22年生まれ)、青池保子(23年生まれ)、木原敏江(23年生まれ)山田ミネコ(24年生まれ)...そして大島弓子(22年生まれ)等々。
1970年代初頭に新しい感覚を持った彼女たちが次々と現れ、SFやファンタジー的要素、同性愛の概念を導入したり、画面構成の複雑化を図るなどの技法を用いるなど、当時の漫画界の常識を覆していきました。
彼女らの生年がおよそ昭和24年前後であり、また「*大泉サロン」で交流した者も多く、相互に関係が深いことから、「24年組」の名で呼ばれるようになったそうです...
男性漫画家とはひと味もふた味も違う内的できゅ〜〜〜んとするセンス、少年より少女の方が大人だったそんな"ぽさっ"が残っている世界。
*大泉サロンとは...
かつて東京都練馬区南大泉に存在した借家で、漫画家の竹宮惠子と萩尾望都が1970年から1972年にかけて2年間同居し交流の場となった際の呼び名。
当時の若手女性漫画家たちが集う場となり、特定はできないが、彼女らが「大泉サロン」と名付けた。編集者やファンも多くが出入りしており、1950年代に手塚治虫や当時の若手漫画家が集った「トキワ荘」(東京都豊島区)と比べられることが多い。
あらためて最近、そんな大泉サロンから生まれたマンガを半世紀近くたって読み返しています。
今回、読み返し、紹介するのはこちら。
*『綿の国星』
なんとも記憶に残る大好きな少女マンガのひとつ『綿の国星』1978年〜1987年...大島弓子作。
この作品の主人公はカワイイ一匹のちび猫です。『綿の国星』というタイトルもなんともほっこりとします。
『絹の綿星』...須和野時夫は、雨の中小さな捨て猫を拾う。須和野ちびと名付けられたちび猫の眼を通して人々の触れ合いが描かれる。
こんな感じで始まります。
「春は長雨
どうして こんなにふるのか さっぱりわからない
どうして急に だれもいなくなったのか さっぱりわからない
わたし まだ子供の猫」
で、こんなふうに〜
「人間には二つのルート
ひとつは人間の形をした普通の赤んぼうから
大人の人間に成長するルート
もうひとつは
猫がある時点で変身して
人間になるルートがあって
その双方とも人間から生まれてきたものと
固く信じている
だからわたしはいつの日か人間にかわるのだ
おっぽも消え耳も消え
人間のしぐさ人間のことば」
絵も文章も繊細でキュート...詩的で素敵。。。
大島弓子さんの世界〜イヤなこの現実世界で生きるために、逃避ではなく、翼休め、やすらぎや温もりというエネルギーチャージできる住処=内なる自分だけの世界へと誘ってくれます。
大好きな女性作家のひとり。
少女マンガ作家...平安の紫式部から脈々と連なる"大和のうたをうたう女流歌人たち"だと思います。
天晴!な女性たちです、イカすぜ〜:)