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「自他一如」〜医の現場から見えること〜 by 岡田恒良
第三十七回 『それはサントリーニ島から始まった』
今ではたくさんの人に読まれているであろう、「神々の沈黙」(ジュリアン・ジェイン著)について最初に述べたいと思います。
これには自意識の萌芽が約三千年前に始まったと書かれています。
その契機になった出来事が、サントリーニ島の大噴火だというのです。ノアの方舟伝説もちょうどその頃なのです。
いずれ、相当の被害が地中海の東の一帯に発生し、食糧を求めて人々がさまよい、時に奪い合うこともあったと推測されます。
こうして起きた最初の戦争記録が、トロイ戦争だとされています。
その後は次々と他国との領土争いが発生し、アレキサンダー大王の進軍やローマ帝国の支配、イスラム帝国の拡大、モンゴルの侵略、欧州内での長引く戦争(百年戦争・十字軍・ユグノー戦争・クリミア戦争)そしてついに第一次、第二次世界大戦になっていくのです。
20世紀だけでも一億人以上が戦争の犠牲になっていると聞きました。三千年の間にこの紛争はどんどん拡大していき、核戦争という残虐な手段にまで達したのです。
さて、この三千年の歴史を見渡すと、明らかに悲惨な闘争の歴史かもしれませんが、確実に文明・科学技術は進化しています。闘争は自我を目覚めさせ、次々と技術革新をさせてくれたのです。
もし創造主がいたとしたら、どうしてこんな悲惨な思いをさせるのか?そこでふと思いました。
そうだハヤブサだ!
実は小惑星探査衛星ハヤブサの成功は、大きな意味があると思います。肉眼で見えないほどの小さな小惑星に到達しサンプリングに成功、さらにハヤブサ2でもリターンが成功してます。これはどういうことでしょう。単に地質学的な貢献だけではありません。小惑星はこれまで地球に甚大な被害をもたらしてきた隕石の元凶なのです。
大噴火→紛争・戦争の歴史→科学技術の進化→ハヤブサの成功→隕石の落下防止
そういう縮図がすっと浮かんできたですが、それを支持するような出来事が続いたのです。期せずしてサン=テグジュペリの「星の王子さま」を読んだこと(王子は小惑星から来た)、旅先で隕石記念館に偶然入ったこと、映画「君の名は」を見せられたこと。
それ以外にも隕石に関する偶然が立て続けに起きたのです。これは間違いない。ホモ・サピエンスは、隕石防止のため、自我意識を獲得し、争いを積み重ねながら、科学技術を進化させたのだ!と。
それを裏付けるように、世界は二極化しています。まだまだ懲りずに紛争を繰り返している集団も一方にいますが、しっかりと目覚めた一団もいるのです。
ビットコインは、ブロックチェーンという手法で成り立っていますが、これは分散型自立組織DAOでできています。これが広まれば、中心を持たない平等なつながりが出来上がるのです。
これまでのヒエラルキー社会が大きく変革するきっかけのシステムです。ウーバータクシーなどを見てもシェアの概念が進むことは間違いありません。
これからの展開が非常に面白くなっています。世界はどんどん良い方向に向かっていくことは間違いないのです。
これは第15回の続きとなっています。