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本日の一冊

中学生からの全方位独学法〜虚数の情緒

*著者からのコメント
「虚数の情緒」によせて 〜 一般に数学は「論理一本槍の無味乾燥なる世界」と誤解されている様であるが、実際に数学者の頭の中に息づいている数学はそうした硬質なものではない。
論理的である事は理の当然として、その先にある「美の世界」、そこに数学の本質がある。対称性や統一性といった絵画や建築に、あるいは音楽に見出される美、それが数学を支えている。
 従って数学を味わう為には、研ぎ澄まされた論理に耐える「知性」と共に美しさに身を委ねる「感性」が必要なのである。
如何に論理的に正しくとも感情がそれを支持しなければ決して人はそれを「わかった」とは感じない。
ほとんどの人は形式的な一般論よりも具体的な例が身に滲みた時、初めてそれを実感をもって「わかる」のである。

 負数の平方根「虚数」こそ、こうした意味での「具体性に欠ける典型的な例」として捉えられているのではないか、そう考えて著者は,虚数が大活躍する場面を数多く紹介した。
それらの具体例を通して読者が「虚数とは何か」を「わかる」とは人間精神の如何なる状態を指すのかを、一緒に考えて貰える様に最大限の配慮をした。
その結果が三部構成・総頁数千(四百点以上の図・表を含む)を越える本書なのである。

 本書は理科と文科という無意味かつ有害な二分法を廃し、「あらゆる文化に境界など存在しない」ことを知って貰う為にある―主題は理科(虚数)・文科(情緒)の融合をも象徴している。
『様々な分野は一冊の本のそれぞれの章に過ぎない』というカルロ・ルビア(ノーベル物理学賞)の言葉ほど、本書を見事に表したものは他にない。

青年は背伸びする。人は背伸びする心を失った時、老い始める。
本書の全てを中学生が理解する事など有り得ない。しかし「手も足も出ない」「一行も理解出来ない」という事もない。楽しめる部分も多いにある。
精一杯に背伸びして挑戦して欲しいと思う。

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吉田武 : 虚数の情緒

*TAO LABより
「本書は人類文化の全体的把握を目指した科目分野に拘らない"独習書"である」("はしがき"より)〜分厚い本、1001ページあります。

ひょんなことでこの書籍存在知り「虚数」「情緒」という組み合わせに感覚的にやられちゃいました。
大変尊敬し興味深い存在、数學者の岡潔さんは「"数学" は、情緒を知性の文字版に書き出す。」というようなことをおっしゃっていたと記憶しています。

「虚数」とは「2乗するとマイナスになる数」です。 ふつうの数ではプラス×プラスはプラスになり,マイナス×マイナスもプラスになります。 つまり、0でない数を2乗するとかならずプラスの数になります。 したがって、ふつうの数では「2乗してマイナスになる数」などというものは存在しないはずです。
また、虚数には「大きさ」というものがないため、大小を比べることができません...

さらに、このように書かれていました。

実数ではない複素数のことで、すなわち、虚数単位 i = √−1 を用いて表すと、 z = a + bi と表される数のことである。 実数直線上にはないため、感覚的には存在しない数ととらえられがちであるが、実数の対、実二次正方行列、多項式環の剰余環の元として実現できる。

とのこと〜よくわかりませんが:)視えないけどある魂と同じように視えるものを支えている「有」に対する「無」のような、、、なにかなんでしょう。

本書は、その中心に数学を据え、人類文化の全体的把握を目指した科目分類に拘らない独習書である。歴史、文化、数学、力学、原子、脳科学など多くの分野が、虚数を軸に、中学生から読める様に悠然たる筆致で書かれています。
何よりも本書の「巻頭言」、まずは素晴らしいイントロ〜ぜひ、思春期迎え、中二病真っ盛りの時に触れてもらいたく。

還暦迎えた肉体的にはおじいちゃんに入り込んだ自分ですが、あらためて背伸びし:)63歳の少年としてこの本をこれから読み、「虚数」「情緒」リアルに覗き視、理解感動してみようと思っています。

母校玉川学園のモットーでもある「労作」とともに「自由研究」は続く...

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