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本日の一枚

いつの音?いまの音!『大土蔵録音 2020』

大友良英(音楽家)
ポップス史の要と言ってもいい録音技術の変遷そのものから音楽をとらえなおしたこれまでにないアプローチの大傑作。更新される技術だけではなく滅びゆく技術の中に単なるノスタルジーではない流行歌の本質をとらえる視点は新鮮。100年を超える録音音楽(ポップス)の歴史あってこその大名盤。嬉しい驚きの連続です。

瀬川昌久(ジャズ評論家)
戦前の大衆音楽やジャズソングを今の世代にアピールする巧妙な手口で復刻して成功している"ぐらもくらぶ"が戦前盤をそっくり新たに録音して、新旧ダブルの二枚組アルバムを発売した。歌っているのは山田参助で立派なクルーナーぶりを発揮し、演奏もそっくりのサウンドで見分けがつかない位だ。レパートリーも流行歌と小唄を巧みに選曲しているが、服部良一作曲の「夏の行進曲」のジャズ的アレンジが特に面白い。

大土蔵録音 2020.jpg
大土蔵録音 2020
山田参助とG.C.R.管絃楽団
オリジナルSP音源特典ディスク付

2020年末に千葉県香取市佐原地区の与倉屋大土蔵にて収録された、戦前の流行歌をアレンジを限りなくオリジナルに準じ、収録方法もマルチを使わない戦前型のマツダA型ベロシティマイク1本にての一発同時録音編集無し音源。

トラッド・ジャズのトップ・プレイヤーの粋と、山田参助による昭和歌謡テイストの融合で織りなす、今までにない音色をお届けします。また山田参助は架空流行歌ユニット「泊(とまり)」での活動や、漫画家としても『あれよ星屑』で2019年に手塚治虫文化賞&日本漫画家協会賞を受賞するなど注目を集めています。
選曲のコンセプトは「音主義」で鉄板ヒット曲は考慮せず「メロディ・アレンジ・録音」この三要素に力点を置いて「テクスチャーやグルーヴを最優先」にしました。
これは勢いマイナー曲ばかりになりがちなのですが、むしろ聴き覚えのあるヒット曲による想い込みやイメージが加わらないために、音そのものを味わっていただきたいと考えた挑戦なのです。

■DISC 1 大土蔵録音2020
1. 弁士の入場
2. ノンノンシャラリン
3. モガ モボ ソング
4. 追憶の馬車
5. 泣いちゃいけない
6. 出帆の夜
7. 男船乗り
8. ダンス祭
9. 八幡船
10. 思い直して頂戴な
11. 夏の行進曲(海へ山へ)

歌唱:山田参助 G.C.R.女声合唱団=木村美保、大塚望(F.Chor.)
演奏:G.C.R.管絃楽団=青木研(Banj&S.Gt.)、三井大生(Vn.&Mand.)、宮木謙介(Sax.&Fl.)、渡邊恭一(Sax.&Cl.)、河原真彩(Trp.)、田沼慶紀(Trp.)、三塚知貴(Trb.、宮澤やすみ(三味線&Gt.)、山本琢(Acc.)、松永敦(Tub.&Cb.)、たきざわあつき(Drs.)

■DISC 2 大土蔵録音2020 特典オリジナルSP音源
1. 土蔵と楽士
2. ノンノンシャラリン / 二村定一
3. モガ モボ ソング / 朝居丸子
4. 追憶の馬車 / 北廉太郎
5. 泣いちゃいけない / 丸山和歌子
6. 出帆の夜 / 東海林太郎
7. 男船乗り / 上原敏
8. ダンス祭 / 藤村一郎(楠木繫夫)
9. 八幡船 / 東海林太郎
10. 思い直して頂戴な / 川田定子
11. 夏の行進曲(海へ山へ) / 大山利夫(楠木繁夫)

*TAO LABより
歌声、演奏、録音〜いやはや...新しいのに古い!!!
渋い!!!COOL!!!

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