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「真我への目覚め」岡潔 解説:横山 賢二
【32】 日本民族の自覚
*講演日 :1967年12月6日 於 大阪市 北陵中学校
大体、日本民族は、天御中主命から数えると、30万年にはなると思う。 ― 人類あって以来60万年〜100万年とも言われていますが ― それが物質が自分ではなく、心が自分だと初めから気づいているというのは実に早い。だから、日本民族は、私は、他の星から来たのだろうと思います。ともかく、日本民族の中核の人は心が自分だと思っている。だから日本民族は心の民族です。心は合わされば1つになる。これが心の民族の特徴です。
日本人は日本民族の心というものの、この強い力にひかれて、だんだんそうなっていくのです。これが同化作用ですが、その同化の度があまり進んでいない、十分同化してないのです。しかし、そういう人達だと、自分が日本民族の一人だということに、本当に目覚めることは簡単にできる。それで、真我に目覚めたことになっている。これが一番早い。
その後、深めるには、仏道の修行とか、いろいろといるのですが、まず、目覚めるには日本民族の一人であるということに目覚めるのは、極めて早くできる。それで、既に、真我に目覚めたことになる。これが一番早い。だから、子供を真我に目覚めさせようと思えば、民族の詩であり歌である歴史を教えるということが、何にも増して大事なことだと思う。
*解説32
2017.11.09up
「日本民族の自覚」とか「神国日本」とかいうと、ちょっと胡散うさん臭いと思う人があるかも知れない。まさにこれは「国粋主義、民族主義」のイメージだからである。しかし、これはお気づきのことかも知れないが、岡の思惑とは全く違うのである。今まで岡はそう思われてきた節があるのだが、それは全くの誤解である。それはどうしてだろう。
テロや戦乱が止まない今の世界情勢をみて、社会にこの「真我」が少しでも根づいている地域が地球上にあるだろうか。改めてよく見回して頂きたい。なくもないのであって、実は辛うじて日本にある。客観的に冷静に見てそうである。
普段は気づかないのだが、我々日本人は日々の生活でも仕事でも、非常に人に気を使って暮している。こんなことをしては人様や友人に申し訳ない。こういう気持ちで暮らしていることが多いのではないだろうか。
これを公式化すると「自が先」ではなく「他が先」である。世界の人々は公言こそしないが、「自が先」でなければ生きていけないと固く信じている。実はこの日本列島の中だけ、「人が先」という原理が辛うじて通用するのである。岡のいう「日本民族の自覚」とは実は単純なものであって、正にこの事実に気づくことである。
猶、「日本民族は、私は、他の星から来たんだろうと思います」と岡はいっているが、その手段はロケットや円盤ではない。
*岡潔思想研究会
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