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「真我への目覚め」岡潔 解説:横山 賢二

【31】 強靭な意志力

*講演日 :1967年12月6日 於 大阪市 北陵中学校
 意志力についていいますと、強靭な意志力は真我の意志です。これは形容だけにしておきます。

 岩の上に松の種子が落ちる。その松の種子は、不運をかこたないで、できるだけの努力をして、少しですが、固い岩に根をおろす。そうすると、雨の水がしみこみ、冬になると凍る。そうすると膨張して岩が少し割れる。翌年は、もう少し根を差し込む。そうすると雨の水がよくしみこむ。冬が来て凍る。又膨張して割れる。更に翌年は、もう少しよけい根を差し込む。こんなふうに根気よく、来る年も来る年もやって行く。そうすると、さしもの大岩もついに真二つに割れて、松は大地に根を降ろし、その幹は亭々として空にそびえる。

 こんな景色に海岸でよくお出合いになるでしょう。これ、強靭な意志そっくりです。これは、一人でやるよりも、会社なら会社全体が心を合わせてやるととてもやり易い。現に、日本はそれを軍国主義に使ってきたのです。それを平和に使えば良い。

ど根性松.JPG

*解説31
2017.11.09up
 私はこの「岩の上の松」の話が以前から好きである。私は人に励まされたという記憶はあまりないが、この話だけはいつも心の中で私を支えてくれた。

 岡は「純一無雑な努力」という表現も使っているが、私の教育の会の内田八朗は「カブト虫が白い糸をピンと張って、おもちゃを引張るようなもの」という表現を使っている。

 ここで大事なことはどんな場合でも同じであるが、岩を割るのは氷の力であって種子の力ではないということを、我々は肝に銘じなければならない。そういう考え方に徹して初めて、大業は成され得ると私は思うのである。

*岡潔思想研究会
http://www.okakiyoshi-ken.jp/index.html

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