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本日の一枚
La Leyenda Del Tiempo
*TAO LABより
このアルバム...発売当時のセールスは大失敗だったとのこと...カマロンのプーロ・フラメンコ(純粋で伝統的なフラメンコ)を期待していたリスナーは、レコード店へと返品(!)に押し寄せた。あまりに先鋭的な作風は、批評家たちにすら嫌われたそうだ...どの時代でも"新しい波"は、まずは〜〜〜拒絶される...でも、現在、このアルバムはフラメンコに革命をもたらした作品の一つとして金字塔を打ち立てている。
・Nana del caballo grande
・La tarara
・La Leyenda del Tiempo
*解説
カマロン・デ・ラ・イスラの最高傑作!「ラ・レジェンダ・デル・ティエンポ」。
1979年に発表された本作はその革新性で「フラメンコの歴史」に残る最重要作品となりました。才能をすでに認められていたカマロンのカンテに、ギターにはトマティートとライムンド・アマドール、エレキ・ベースやシンセ、エレピ、ドラムなど使い、全10曲中6曲がフェデリコ・ガルシア・ロルカの詩にプロデューサーでもあるリカルド・パチョンが曲を付けています。パチョンによれば初めはそのロック的なアプローチを「こんなのはカマロンではない!」と評論家にも酷評され返品さえ受けたそうですが、「このアルバムの良さはやがて理解される」と信じ、それは現実となり今ではフラメンコの枠を超えた大傑作のひとつになっています。この世を去って今年(2020)で28年。不世生のカンタオールの傑作は今聞いても古さを微塵も感じさせず、当時「ロック的」と批判されたとしても、絶対的デュエンデがありこれはフラメンコ以外の何ものでもないと思わせてくれます。
『La Leyenda Del Tiempo』
Camarón de la Isla
本作の最大の魅力は、ジャズやロックを筆頭に、異ジャンルの若く野心的なミュージシャンが集結して作り上げた、アヴァンギャルドな音楽性だ。
随所で幻想的な音色を響かせるキーボード&ピアノ奏者のマノロとラファエル・マリメリ、ベースのマノロ・ロサの3人は、1970年代末から活躍したバンド「アラメダ」の主要メンバー。先輩格の「トゥリアーナ」と共に、スペインで勃興した"アンダルシア・ロック"の代表的存在であり、キーボードを多用した70年代プログレシッヴ・ロックの影響は、本アルバムの特色の一つである。
フルートを操るホルヘ・パルド、パーカッションのブラジル人、ルベン・ダンタスの二人は、同時期にペドロ・ルイ・ブラスが率いた伝説的バンド「ドローレス」のメンバー。二人が後にパコ・デ・ルシアのセクステットの一員として20年以上もその黄金期を支えたのは、もはやご存知の通りだ。
セカンド・ギターのライムンド・アマドールは、弟のラファエルとのデュオ「パタ・ネグラ」でデビュー。ヒターノ居住区に育ちながらブルースに傾倒した経歴を活かし、名作「ブルース・デ・ラ・フロンテーラ」(1987)を発表。"ブルースレリア(ブルース+ブレリア)"という造語も生んだ。
さらに、シタール(インドの弦楽器)奏者のグアルベルト、アントニオ・ガデス舞踊団のエンリケ・パントーハがパルマ、サパテアードに鉄人バイレのマノロ・ソレールと、ここまで才気煥発なメンバーが揃えば、面白くならないわけがない。
その上パチョンは「(ガルシア)ロルカやオマール・カヤムのようなシュール・レアリズムの詩は、カンテにぴったりだった」と語り、彼らの作品をアレンジして歌詞に採用、一歩踏み込んだフラメンコの解釈を目指したのだ。