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「自他一如」〜医の現場から見えること〜 by 岡田恒良

第十四回 大切なのは病気を治すことではなく、自分自身の生活を治すことだ

 この表題は、井上アトムさんがバイオヘルス活動を通じて主張されている言葉です。
2018年9月20日から23日まで、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスから400km北のパラナ市で開催された、第9回バイオヘルス世界大会に参加してきました。
バイオヘルス活動は、これまで井上アトム氏が行ってきた自然医学の集大成ともいえる活動です。治療法を求めるのではなく、自らの力で生命のエネルギーを高めていく方法、そう断言できます。

 午前7時、会場の広間に大音響が響きます。沖縄の歌手、日出克の唄う「ミルクムナリ」が大音量で流れ出すと、アトムを中心に集まった数人がバイオダンスを始めます。

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" 井上アトム氏 "

30分もすると参加者で会場が埋め尽くされ、いつものスワイショー、練功十八法、般若心経のダンスなどオリジナルのエクササイズが続きます。「ギャーテー・ギャーテー・ハーラーギャーテー・ハラソーギャーテー・ボージー・ソワカ」この般若心経の真言が今でも頭に響きます。約一時間半に及ぶ朝の運動で、こんがらがった時差ぼけもやや改善してきました。

 ひんやりしたタイル敷きの大広間は、会場のセントロ・マリアポリスと言うカソリック系(イエズス会)のコンベンションセンターの主会場です。市街地から離れ、だだっ広い大平原の広がる中に立っているこの会場からは、ご来光が地平線から拝めましたし、夜にはオリオン座が逆さまになって頭上に輝きました。

 運動に汗を流したあと、9時からの朝食は、野菜中心。卵とミルクは出ますが、他はパンと野菜のみ。10時からは、会場に戻ってセミナーが始まります。南米各国からの参加者がバイオヘルスの体験などを語ります。もちろん井上アトムさんもしっかりと時間をかけて基本となるバイオヘルスの理論をしっかり講義されました。

 さて1日目の夕方に出番がやってきました。日本から持って行ったマックブックでパワポの画像を投影しながら、英語で発表。ほとんどの方はスペイン語のため、ウルグアイの女性、ラーラさんに英→西語に同時通訳していただきました。

 岐阜大学千島喜久男博士の編み出した根元的生命の学説について、主に赤血球の働きを60分にわたって解説させていただきました。野菜を中心とした食物が、消化管である小腸において健全な赤血球に変化すること、しかもその細胞膜となる脂質のうち不飽和脂肪酸が特に重要であることの理由。さらに健全な赤血球はやがて進化して体細胞にも変化するが、停滞し、劣化した赤血球は全身のガン細胞にもなり得るとの話をさせていただきました。様々質問を受けながら感じたことは、聴衆はもうこの学説を受け入れる素質のある方々ばかりだということでした。すでにアトムさんが日頃の勉強会で千島学説(注1)を紹介されていたからです。 

 翌日に行った二回目のレクチャー(これが本当に言いたかった)については次回といたしましょう。
 ...続く


*(注1)千島学説

千島学説.jpg

*千島学説研究会


*著者 プロフィール
なごやかクリニック院長
名古屋醫新の会代表 
岡田 恒良(おかだつねよし)
https://www.facebook.com/tsuneyoshi.okada1
1955年岐阜県生まれ
1980年岩手医科大学卒
約20年消化器系一般外科医として通常に病院勤務。市民病院で外科部長として勤務中、ある先輩外科医との運命的出会いがあり、過剰医療や過剰投薬の現状に気づき、自然医学に目覚める。
1999年千島喜久男博士の勉強会を名古屋で主催、マクロビオティックの久司道夫氏の講演会企画をきっかけに病院を辞職。
御茶ノ水クリニックの森下敬一博士の機関誌《国際自然医学》に「自然医学の病態生理学」を長期連載。中山武氏の主催するがんの患者会「いずみの会」の顧問をしながら安保徹教授の講演会を開催し、親交を深めた。
看護学校にて補完代替医療について講義中。
2006年コロンビアのドクトル井上アトム氏に出会い、運動療法・自然療法の重要性を認識。以来南米に3度訪れる。 「自他一如」の探求は2000年から続く。

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