MAGAZINEマガジン
おかねのしくみ by 新藤洋一
第5回 金(きん)が「おかね」になった日
前回、前々回と「おかねのしくみ」が遥か宇宙の彼方まで飛んでいきました。今回からまた地上に戻って話を進めていきます。
それにしても何故人はこれほどまでに金(きん)に魅了されるのでしょうか。実は人類は宇宙人が作ったもので、地球上の金を集めさせるのが目的である、という説まで登場するくらいです(根拠はありませんが)。
今現在、日本人は「人類が金に執着している」という感覚は持っていないと思います。私も日本に生まれてこの年(54才)になるまで、金を身近に感じた経験はありません。
しかしこれはどちらかと言えば、意図的に作られた感覚です。日本の、敗戦国・属国としての世界的位置づけがあり、金から遠ざかっている特殊な国になってしまっているのです。
今でも世界は金と共に生き、金に突き動かされています。
その始まりはどのような状況だったのでしょうか。
昔ある人が、運良くゴールド・ナゲット(自然金の塊)を複数見つけて大事に保管していました。それをうらやましく思った別の人が言いました。
「その金塊をこの鹿の肉と交換してくれないか」
「ああいいとも」
さらに別の人が
「俺はこの魚と交換して欲しい」
「この金塊でその魚の量では足りないな」
などというやりとりがあったかもしれません。
皆が欲しがるものが「おかね」の条件です。金を拾った人は富を手にすることになったのですが、他人が価値を認めなければ、ただの石ころと同じです。
「金(きん)さえあれば、欲しいものが何でも手に入るのになあ」
そう考えた人は、狩りに行くのをやめて金を探しに川に出かけたのでした・・・
今でもゴールドラッシュで人が群がっているのを見ると、昔もそのような光景があっただろうと想像することができます。
【ゴールドラッシュの光景(Wikipediaより引用)】
一番最初は子供の宝物だったかもしれません。のび太が見つけた金も、ジャイアンが腕ずくで奪い取ったでしょう。
この構図は大人が金を手に入れてからも全く変わっていません。時代が進んでも、実は全く変わっていないのです。変わったのは「ごまかし方」を覚えたこと。
権力が生まれたとき、金は権力者のものになりました。
国家が生まれたとき、金は国王のものになりました。
そして国家と金のすさまじい物語が幕を開けることになるのです。
*プロフィール
作農料理人 人類研究家
新藤洋一(しんどうよういち)
1963年群馬県生まれ
1991年脱サラ後、飲食業を営みながら食糧とエネルギーの自給に取り組む。
自給生活の様子は「自給屋HP 」に掲載中。
(自給屋としての営業は2018年12月ですべて終了します)